フリーランス

フリーランスになったらやること完全ガイド

【完全ガイド】フリーランスになったらやること
伊藤祐太

WebやSNSの発達、会社員としての働き方への疑問などから、フリーランスという働き方は、近年ますます注目を集めています。会社員のように働く時間や場所に縛られず、自分の裁量で仕事を選べる自由さは大きな魅力です。

しかし、その自由の裏には「自分ですべてを管理しなければならない」という責任も伴います。とくに独立直後は、やるべきことが多すぎて何から手をつければいいのか迷う人も少なくありません。

この記事では、独立を控えた方やフリーランス1年目の方に向けて、手続き・お金・仕事・環境・自己管理の5つの視点から「やるべきこと」を網羅的に解説します。

フリーランスになる前に準備しておくこと

フリーランスになる準備は、会社に在籍中から始めなければいけないものもあります。

早めに準備を始められることをチェックしておきましょう。

退職前にやるべき手続き

会社を辞めるときには、退職届の提出や有給消化の調整など、会社員ならではの手続きが必要です。

退職日が決まると同時に、社会保険証年金手帳源泉徴収票などの書類も受け取っておきましょう。

これらは国民健康保険や年金への切り替え、確定申告に必要になります。

住民税の支払い方法(特別徴収から普通徴収への切り替え)も重要なポイント!

退職後の生活をスムーズに始めるためには、会社に在籍している間に必要な手続きをきちんと済ませておくことが欠かせません。

会社員のうちに済ませておきたいこと

フリーランスになると「社会的信用」が下がるため、ローンやクレジットカードの審査に通りづらくなります。そのため、会社員のうちに住宅ローンの契約や、事業用・プライベート用を分けるためのクレジットカード作成を済ませておくのがおすすめです。

賃貸物件の契約や更新も会社員時代の方が有利に進められます!

独立後に不利な条件で契約することを避けるためにも、会社員のうちに動いておくことが安心につながります。

生活費・事業資金の準備

フリーランスは収入が安定するまで時間がかかることも多いため、最低でも3〜6か月分の生活費を準備しておきましょう。さらに事業資金として、パソコンやソフト購入費、コワーキングスペース利用料なども想定しておく必要があります。

開業初期に資金が不足すると焦って案件を選べなくなり、結果的に仕事の幅を狭めてしまうリスクもあります。

しっかりと資金計画を立てることで、独立後の精神的な余裕が生まれます。

フリーランス開業時に必ずやる手続き

フリーランスとして活動を開始しても、まだまだやることは残っています。最終的には、自分が楽をできるので、頑張って手続きを進めてください。

開業届を提出する

フリーランスとして事業を始める際は、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」を提出します。提出期限は開業から1か月以内。提出しておくと、屋号付きの銀行口座を開設できたり、青色申告を選べるようになったりとメリットが大きいのが特徴です。控えをもらっておくことで、口座開設や各種申請の際に証明書として使えますので必ず保管しておきましょう。

参考:国税庁 A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続

青色申告承認申請書を出す

税務署に「青色申告承認申請書」を提出すると、最大65万円の特別控除を受けられます。白色申告との違いは、帳簿の作成が必要になる点ですが、会計ソフトを活用すれば難しくありません。青色申告を選んでおくと、赤字を翌年以降に繰り越せるなど、節税効果が非常に大きいため、開業初年度からの提出がおすすめです。提出期限は申告を適用させたい年の3月15日までとなっていますので、遅れないように手続きを行いましょう。

参考:国税庁 A1-8 所得税の青色申告承認申請手続

インボイス制度への対応

2023年に始まったインボイス制度は、取引先によっては登録を求められる場合があります。課税売上高が1,000万円を超える事業者は登録が必須ですが、免税事業者でも取引条件によって登録を選ぶことが必要です。登録すると消費税の納付義務が発生しますが、仕事の継続性を考えると登録した方が有利なケースも多いため、自分の状況に合わせて判断しましょう。インボイスに関しては、国税庁の下記のサイトでわかりやすく解説されています。

参考:国税庁 インボイス制度について

社会保険・年金の切り替え

会社を辞めると健康保険と厚生年金の資格を失います。そのため、国民健康保険と国民年金に切り替える必要があります。手続きは市区町村役場で行い、退職日から14日以内が目安です。保険料の負担は増えるものの、フリーランスとして生活していく上で欠かせない基盤ですので、必ず手続きを済ませておきましょう。

参考:日本年金機構 会社を退職した時の国民年金の手続き

退職後の失業保険

フリーランスになる場合、原則として失業保険は受給できません。ただし「すぐに開業せず、就職活動を行っている」と判断される場合には一部受給できることもあります。もし会社を辞めてから開業までに期間を空ける場合は、ハローワークで条件を確認しておくと安心です。

参考:ハローワークインターネットサービス 雇用保険手続きのご案内

フリーランスのお金の管理体制を整える

フリーランスとして働くにあたり、さまざまな経費がかかります。

仕事用のPCやソフトの購入、外注費用、消耗品の購入やコワーキングスペースの利用など、お金を使う範囲は多岐にわたります。

ここでは、フリーランスのお金の管理を楽にする方法を4つ紹介します。

事業用口座・クレジットカードを作る

事業とプライベートのお金を混在させると、経費の把握が難しくなり、確定申告で混乱する原因となります。事業用口座やクレジットカードを開設し、入出金を明確に分けることで経理が格段に楽になります。

会計ソフトを導入する

フリーランスにとって日々の帳簿付けは欠かせません。freee、マネーフォワード、弥生などの会計ソフトを活用すれば、自動で仕訳を作成でき、確定申告書の作成もスムーズになります。特に青色申告をする場合、複式簿記の記録が必要ですが、ソフトを使えば初心者でも安心です。

ProsVoiceスタッフ
ProsVoiceスタッフ

私たちは、会計freeeを使っています。

経費計上する時に、勘定科目をどれにしたらよいのか迷うことがよくありますが、会計freeeなら迷うことはありません。アプリでレシートを撮影するだけで、自動で勘定科目を分けてくれるので、無駄に悩む時間が少なく便利です。

請求書・領収書の発行と保管

仕事を受注したら、正しい形式の請求書を発行する必要があります。クラウド請求書サービスを利用すれば、インボイス制度にも対応可能です。また、領収書や契約書は電子帳簿保存法の対象となるため、データでの保管ルールを整えておきましょう。

確定申告に向けた準備

1年目から経費や収支を整理しておけば、確定申告の時に慌てずに済みます。特にレシートや請求書は日々整理し、帳簿に反映する習慣を持つことが大切です。税金の支払いは翌年3月に集中するため、資金を確保しておく意識も必要です。

税金の支払いの期限については、下記の国税庁のホームページでご確認いただけます。

参考:国税庁 【税金の納付】

仕事を獲得するためにやること

フリーランスは会社員とは違い、自分で仕事を獲得しなければいけません。

ただ待っていても仕事は獲得できません。駆け出しのフリーランスが仕事を獲得するために行うことを解説します。

ポートフォリオ・職務経歴書を作成する

フリーランスにとって、自分を売り込むための武器がポートフォリオや職務経歴書です。

これまでの実績やスキルを見やすく整理し、取引先にアピールできるようにしましょう。実績が少ない場合でも、仮想案件や過去の社内業務をまとめることで十分な材料になります。特にデザインやライティング、エンジニア業務ではポートフォリオが受注の決め手になることも多いです。

色々な方法で仕事を探してみる

仕事を獲得するためには、まず案件に出会う場を確保することが重要です。クラウドソーシングサイト(クラウドワークス、ランサーズなど)は初心者でも取り組みやすい一方で、単価は低めとなっています。また、運営側にも20%ほど手数料を持って行かれてしまうので、稼ぎが少なくなってしまう傾向です。

Pros Voice スタッフ
Pros Voice スタッフ

意外とココナラは案件が取りやすいですよ!

知り合いからの紹介企業への直接応募など、仕事獲得のハードルは高いですが、継続・高単価案件につながることもあります。いきなり企業案件と聞くと、尻込みしてしまう方も多いと思いますが、意外とできることは多いと思います。

怖がらすに、チャレンジしてみましょう。

人脈を活かした営業活動

独立直後は、元同僚や取引先に「独立しました」と挨拶することが仕事獲得につながるケースも多いです。知人からの紹介は信頼性が高く、継続案件になりやすいのも特徴です。

メールやSNSで丁寧に挨拶し、自分がどんな仕事を受けられるかを明確に伝えておくとチャンスが広がります。

ただし、知り合いだからとはいえ、適当に仕事をしてしまっては継続案件に発展しません。知り合いだからといって妥協はせずに、相手が満足する仕事を提供するように心がける必要があります。

SNS・ブログでセルフブランディング

SNSやブログは、自分の専門性を広く知ってもらうための効果的な手段です。発信内容に一貫性を持たせることで、「この人に頼みたい」と思われる可能性が高まります。

特にX、Instagram、noteなどはフリーランスの発信と相性が良く、ポートフォリオ代わりにもなります。

ただし、SNSアカウントを育てていくには時間がかかります。

手元資金に余裕があり、しばらくSNSの運用に力を割ける状態であれば、検討もできると思います。手元資金に余裕がなく、1日でも早く稼ぎたいという方には不向きです。

早く成果を出したいという方は、PRタイムズのようなプレスリリースを掲載してくれるサイトに投稿をしたり、私たちの運営するPros Voiceのような、第三者から取材をしてもらえるようなサイトを頼ったりするというのも一つの手段です。

相談だけしてみる

仕事環境を整える

会社員は、会社側で仕事に使用するあらゆるものを用意してくれますが、フリーランスは全て自分で用意しなければいけません。

PCや名刺だけでなく、机や椅子、通信環境までも自分で用意しなければいけません。

ここでは、どのように仕事の環境を整えれば良いか解説します。

自宅作業環境を整備する

フリーランスは自宅で作業する時間が長くなるため、快適な作業環境を整えることが大切です。長時間座っても疲れにくい椅子や、集中できるデスク環境、安定したネット回線は必須です。照明や室温の調整も生産性に直結するため、快適な環境づくりに投資する価値があります。

Pros Voice スタッフ
Pros Voice スタッフ

私の経験では、良い椅子と大きめのPCモニターは必須だと考えています。

見た目だけで機能性がない椅子では、すぐに腰やお尻が痛くなってしまい仕事に集中できませんが、いい椅子だと何時間座っても痛みが出ず、安定して仕事に集中することができます。

ニトリで購入した、いわゆる社長椅子を使用していますが、安定して仕事ができ、腰が痛くなるということは一度もありません。

コワーキングスペース・シェアオフィスの活用

自宅だと集中できない、孤独を感じるという人にはコワーキングスペースの利用もおすすめです。周囲に働く人がいることで集中力が高まり、人脈作りにもつながります。

ただし毎月の利用料がかかるため、費用対効果を考えながら活用しましょう。

仕事に必要なPC・ツール

フリーランスにとってパソコンは仕事の生命線です。業種によって必要なスペックは異なりますが、長く使える性能を備えたものを選ぶのが安心です。

加えて、会計ソフトやタスク管理ツール、チャットアプリなど、仕事を効率化するツールを整えておくことで業務がスムーズに進みます。

Pros Voice スタッフ
Pros Voice スタッフ

私たちのように、文章やプログラミングなどでタイピングを多くする人には、PCスタンドがオススメです。

スタンドでパソコンを少し斜めにするだけで、タイピングのしやすさがかなり変わります。

名刺・Webサイト・メールアドレスの準備

個人事業主であっても、名刺や事業用メールアドレスは信頼性を高めるために必須です。

また、簡単な自己紹介や実績を掲載したWebサイトを持っておくと、営業時の信用度が格段に上がります。特にITやクリエイティブ系では、ポートフォリオサイトとしての役割も果たします。

フリーランスとして長く続けるために必要なこと

フリーランスになったとはいえ、続けられなければ意味がありません。

せっかく独立・起業したのに、会社員に逆戻りとならないように、以下の点を意識しておきましょう。

生活リズム・タスク管理

フリーランスは勤務時間が自由な反面、生活リズムが乱れやすいという課題があります。

朝起きる時間を決める、タスク管理ツールを使って1日のスケジュールを可視化するなど、自己管理が欠かせません。習慣化できる仕組みを作ることが継続のカギになります。

特に朝は脳がクリアな状態なので、文章作成やデザインなど、脳に負担がかかる作業を行うと捗りやすい傾向があります。

孤独感との戦い

一人で仕事をしていると孤独を感じやすく、モチベーションを保つのが難しくなることがあります。同じ職業の仲間や頼れる先輩など、共通の目標に向かえる仲間が見つかると孤独感を軽減することができます。

一人の空間は、孤独感が強くなりやすいので、カフェやショッピングモールのフードコートなど、他の方の邪魔にならない程度のところで、さまざまな人がいる環境で仕事をすると、孤独感から少し解放されます。

Pros Voice スタッフ
Pros Voice スタッフ

いつもお世話になっている店員さん。

ありがとうございます。

スキルアップ

市場で求められるスキルは常に変化しています。

さまざまなスキルを身につけるだけでなく、いつの時代も変わらない本質的な部分を学ぶことも重要です。得たスキルを使って出せた成果物は、自分のポートフォリオとして使って良いか、クライアントと協議しつつ、少しずつポートフォリオを充実させていきましょう。

スキルを得る
仕事で成果を出す
ポートフォリオを充実させる

このサイクルを回していき、クライアントにとって魅力的なフリーランスへ成長してきましょう。

社会的信用を確保する

フリーランスは会社員に比べてローンや賃貸契約の面で社会的な信用が低くなりがちです。フリーランスになると確定申告を自分で行う必要があり、会社員以上に利益や税金といった数字に目が行きがちです。稼げるようになってきた時に考え始めるのが、節税です。

過度な節税はNG

税金を支払う金額が少なくなるので、魅力的に感じるかもしれませんが、経費計上できるものを増やし、利益を減らすやり方だと、金融機関などから“利益の少ない人”とみられてしまいます。

社会的な信用を勝ち取るためにも、涙を飲んで税金を納める必要があります。

健康管理

フリーランスは体調不良=収入減に直結します。定期的に運動を取り入れ、バランスの良い食生活や十分な睡眠を確保することが重要です。特にパソコン作業が多くなりがちなので、首周りの痛みや肩こり、悪い姿勢が原因の腰痛などに注意が必要です。

Pros Voice スタッフ
Pros Voice スタッフ

肩こりの首の痛みには注意ですよ!

サウナで血流を良くしたり、筋トレをして姿勢を保持できる体を維持したりする工夫が必要です。

まとめ

フリーランスがやるべきことは、「手続き」「お金」「仕事」「環境」「自己管理」の5本柱に整理できます。最初は大変に感じるかもしれませんが、全体像を理解して一つ一つ着実に進めていきましょう。

独立は大きな一歩ですが、しっかりとした準備があれば安心して事業をスタートできます。

作成者
Yuta Ito
Yuta Ito
PRプランナー・SEOコンサルタント・SEOスペシャリスト
理学療法士として病院に15年勤務後、医療機関の広報業務に携わる。 全日本SEO協会認定SEOスペシャリスト、認定SEOコンサルタント。 日本パブリックリレーションズ協会PRプランナー。
記事URLをコピーしました